私達Cattonは、保健所出身の保護猫たちをお預かりして譲渡活動をしています。
せっかく保健所の子たちとのご縁があるのに、
なかなか保健所に行く機会を作れていませんでした。
新型コロナウイルスの外出自粛も落ち着き、
催事などで外出しないこのタイミングで
レスキューさくら会のメンバーさんにお願いして
お話を聞かせていただきました。
有明保健所はどのエリアの管轄なのか
有明保健所は熊本県玉名市にあり、熊本県内では犬の収容数が多いため
広い犬舎があるという保健所です。
熊本県 荒尾市
熊本県 玉名市
熊本県 玉名郡 玉東町
熊本県 玉名郡 南関町
熊本県 玉名郡 長洲町
熊本県 玉名郡 和水町
一つ一つの地域が広いのに、荒尾市と和水町とではかなり距離もあります。
2020年6月末現在、保護犬猫のお世話をしてくださっている職員さんは2名いらっしゃいます。
犬舎の外観
犬舎は駐車場の一番大きな木の下にあるこの建物です。
いつも隣の県事務所には会社の手続きで来ることはあったのに、
この建物の中に保護された犬猫たちがいることを、私は知りませんでした。
しっかりしたコンクリートの建物は防音もしっかりしているようで
ドアが閉められていたら、鳴き声も聞こえません。
昨年まではエアコンが1台しかなかったのですが、
もう一台新しく追加され、夏はまだマシになったとはいえ
冬は極寒で、冷たいコンクリートの建物はあたたまりにくく、
寒さをしのいでいる保護犬たち・・。
考えただけで涙が出そうです。
犬舎に入らせてもらいました
入口入ったところに、猫と子犬が保護されるスペースがありました。
訪問時は、黒の兄妹猫がいました。
生後2か月くらいのきょうだいです。
ご飯も全部ひっくり返してしまうほど
とにかく人懐こくて元気いっぱいです。
みーみー、ぴゃあぴゃあ鳴いて構ってを主張します。可愛すぎます。
二匹でしっかりコミュニケーション取りながら遊んでいました。
トイレの中でじゃれあったのか、砂も体につけて(笑)
抱っこも平気です!
この子たちは真菌の治療中でした。
全身剥げができており、現在投薬で様子を見ています。
レスキューさくら会さんが保健所にお願いされて、
最寄りの動物病院に連れていってくださっているとのこと。
顔や手足に剥げが広がっています。
体の真菌を除くと至って元気のようです。
保健所からレスキューされる 負傷した猫や乳飲み猫もいますが
シェルターとして機能している所がないため、
各ボランティアメンバーさんのお宅で 里親に出すまで お世話をされています。
色々な理由でレスキューされた猫たちですが、
真菌の子が一緒に暮らしてしまうと他の猫にうつってしまう可能性もあります。
それ以上に、保護できる頭数に限界があるため、
全ての猫を引き受けることはできないのです。
その理由でこの子たちは、保健所で投薬による治療で頑張っているのだそうです。
この子も引き取ってあげたい。
けれど、Cattonの猫たちの健康も守らなければならない。
何もできない自分が情けなくなりました。
真菌が治ったら良い里親さんとのご縁がありますように!!
心から願います。
また会いにくるね!
有明保健所の現状について
予算も限られており、基本的に有明保健所に収容されている犬猫の全頭に
医療を受けさせる余裕はありません。
これが、保健所の現状です。
医療を受けさせるには診療所の届け出が必要なのだそうで、
有明保健所は診療所の届け出申請を行っていないので
保健所職員の獣医師が診療行為することが認められていないのだそうです。
(申請を行っている保健所もあります)
有明愛護推進協議会へ相談、もしくは県への申請が必要であります。
年間予算も限られているため
基本的に、ケガや病気で治療が必要な場合、
保護団体さんが治療費を負担する場合もあるようです。
しかし忘れてはいけないのは、
協議会も件も団体さんも余裕はありませんから
必ずしも前頭に医療を掛けられるということはないのです・・・。
非常に難しい問題です。
職員さんもボランティアさんも
かなり心情も厳しとおっしゃっていました。
保護犬猫たちのために動いてくださっている方々、
本当にいつもありがとうございます!!!!
保護犬たちとご対面
厚い大きなドアを開けると、そこにはぐるーっと半周する形で犬たちがいました。
ほとんどが一匹ずつ。
体の大きさや性格などもありますから、
知らない犬同士が一緒に入れられることはありません。
檻には番号が振られていて、
収容された理由や日付、捕獲場所がかかれています。
下の動画の犬は、荒尾市平山で捕獲されました。
白内障が進行し、目が見えない中捕獲されて知らない場所に連れてこらえていますから
目が見えないので顔の近くは驚いで噛もうとする仕草をするそうです。
後ろからだと触れるそうです。
念のため、同じ檻の中ではなく隣の檻からチャレンジ。
この犬は吠えはしますが、きちんと従うことができます。
おやつをもらうためにきちんと 職員さんの命令をきいていましたよ。
野犬の問題
この保健所で保護されている理由は様々ですが、
有明保健所の管轄地域には野犬が多く、人間に慣れていない子も多いのだそうです。
山や空き家が多いのでそのような状況になるのは無理もありません。
そもそも、どうして有明保健所特に荒尾市に野犬が多いのかとお尋ねしてみたところ、
炭坑で栄えていたころに飼われていた犬たちが、
炭坑閉山により一家が引っ越し、そのまま残された犬が野犬として繁殖しまった
このようなケースも多いのだそうです。
なるほど、その可能性は高いと思いました。
日本の近代化を支えた場所の一つとして国の重要文化財と史跡に指定された万田炭鉱。
万田炭鉱が栄えていたころは、炭鉱で働く人たちで大変賑やかでしたが、
1997年、 閉山した後に残った団地は今では全て取り壊されてしまいました。
万田坑については荒尾市観光課情報サイトをご覧ください。
https://arao-kankou.jp/sightseeing/history/mandacoalmine.html
野犬問題は大変難しい対応を迫られるそうで、
近所を野犬がうろうろしていると怖いので保健所に相談されます。
でも、野犬に餌やりをしている方もいらっしゃって、
捕獲して保健所に連れてくることで苦情になるケースもあるそうです。
ちょっと暗くて見えにくいのですが、この檻の中には2匹の犬がいます。
二匹で体温を確かめ合うかのようにくっついて、隅っこにいて動きません。
こんな場所に連れてこられて怖いよね。
様々な理由でこの有明保健所で引き取られた2匹。
里親さんを探すには人慣れしていることが大前提です・・・。
この子たちは、今後どのようになるのでしょう。
非常に考えさせられると思います。
保健所で里親探しが難しい子は愛護センターに送られます
上の写真左の白い犬はかなりの老犬で毛が抜けて下半身の痩せ方も気になります。
写真右の黒い犬は人慣れしていますが、耳に持病があるようで
頭をよく振るそうです。
痛みもあるからか、頭や顔あたりを触られるのを嫌がって
耳掃除ができないそうです。
先述のように、この保健所では予算も限られており
満足な医療を受けさせてあげられないため、
動物愛護センター行きがほぼ決まっているそうです(訪問時点でのお話)。
センターにも収容できる限界があります。
収容可能な頭数を超えてしまえば、殺処分になります。
熊本県は殺処分ゼロを目指していますが、0にならない場合もあるのです。
尻尾を振っておやつもおねだりするし、こんなに人慣れしているのに・・・
今後、里親探しが出来るかもしれません。頑張ってほしい!!
どうして保護される動物がいるのか
棄てても、だれかが保護してくれる
この考えがある無責任な飼い主がいるからです。
たくさんありすぎてここにすべては書けませんが、
ふたつだけ例を挙げますと、
・外飼いをしていてきちんとつないでいなかった
・避妊去勢をしていなかったが故に子犬(子猫)が生まれて困ったので山や公園に棄てた
そして、不注意で迷子にさせた飼い主が探さないケースも多発しています。
子供だったら拾ってくれるだろうと学校に遺棄したり、
逆に人目につかない山や公園のトイレに遺棄される場合が多いようです。
パチンコ屋の駐車場に堂々と車で乗り込み
段ボールに入れた仔猫を置いていかれた、という相談も昨年ありました。
6月1日から改正動物愛護法が施行されました 。
これまでは 都道府県知事などにより勧告や命令でしたが
指導・助言、立入検査 などもできるようになりましたね。
みだりにペットを殺傷した場合、 懲役5年または罰金500万円
虐待や遺棄をした場合の罰則が、懲役1年または罰金100万円
このような罪に問われるのです。
監視カメラで車が特定できる場合があります。
SNSをされている方は、本来自分の家の家族として飼っていたときの投稿と
保健所で保護動物の紹介されている写真が一致して特定出来る場合があります。
しかし・・・・
この法律があったとしても、保健所の職員さんでは処罰できません。
警察が動いてくれなければ、何の処分もできないそうなのです。
マイクロチップ装着がかなり身近になりました。
できる限りペットにマイクロチップを装着することが理想です。
マイクロチップは迷子になった時に探せる可能性が高くなるということはもちろん
登録者が特定できる点で非常に有効的です。
責任=マイクロチップ
家族を遺棄することは許されない
1日も早く、これが、当たり前になってほしいです。
有明保健所に行けば誰でも譲渡してもらえるのか
これは、私達も譲渡活動をしていますから理解できるのですが
結論として、誰でも譲渡するということではありません。
職員さんが最も気にしていらっしゃることは、
「終生大切にしてくださるか」です。
一度は知らない人間に捕獲されて怖い思いをした動物たちです。
二度と同じことが起きないか、飼育環境はどのようにするのか、確認されます。
また、尋ねづらいところもありますが
年収も大事だと職員さんはおっしゃいます。
動物は、人間より体が小さいですが、食事、排泄、医療・・
飼育するにはかなりお金が必要になります。
昔は残飯を食べさせていたかもしれませんが、今はそんな飼育はしてはいけません。
健康で長生きさせるために、食事にも気を使わなければいけません。
人間も二人に一人が癌になると言われている現代、犬猫も癌になります。
癌ではなくてもさまざまな病気にかかる可能性があります。
すこし体調が悪くなった時に一刻も早く病院に連れていかなければなりませんし
手術や投薬、医療費は数十万になることも十分あります。
動物と暮らすって、そのくらいの覚悟が必要なのです。